20代の手取り額平均は、想像以上に安いです。
令和元年度の民間給与実態実態調査によると、20代前半と後半の平均年収は以下の通り。
20代前半 | 20代後半 | |
---|---|---|
男性 | 278万円 | 403万円 |
女性 | 248万円 | 328万円 |
出典:国税庁「民間給与実態統計調査(令和元年分)」
また「20代全般」というくくりでは、大手転職サービスのdodaによれば、20代男女の年収額の平均は約331万円。
ボーナスが年間で2カ月分として、税金・年金などを引かれた手取りを考えると、月収手取りは「20万円前後」と言えるでしょう。
一方で、手取り20万円で実際の20代の生活をシミュレーションしたところ、思わぬ結果が見えてきました。
若者のクルマ離れはもちろん、恋愛・結婚離れも無理はありません。
この記事では、20代の手取り額から生活をシミュレーションしたあと、「若者の〇〇離れ」についてみていきます。
20代の手取り額平均からシミュレーションしてみた(都内在住)
まず、20代の手取り額平均を踏まえながら、都内在住のたかしくんについて見ていきましょう。
モデルのたかしくんは、以下の状況です。
- 都内で一人暮らしをしている20代男性
- 電車通勤で、交通費は支給
- 将来のために、手取りの15%は貯金に当てている
- 家賃補助なし、食事は300円の社食
- 副業禁止の会社
- 実家からの仕送りはなし
- 手取りは20万円ちょうど
生活に必要な支出
まず、たかしくんが生活するうえで必要な、最低限の支出から見ていきましょう。
一人暮らしをしていると、最低でも以下の支出が必要です。
- 家賃…6.5万円
- 食費…3万円(1日1000円×30日)
- 日用品…0.4万円
- ガス、電気、水道代…1万円
- スマホ(格安スマホ)…0.4万円
- インターネット…0.4万円
合計:11.7万円
家賃は都内ではかなり安い方で、食費も自炊をしており、スマホも格安にするなどかなりの堅実ぶり。
ここまで節約しても、残りは8.3万円(´;ω;`)
- 会社に近い、土地代の高い場所に住む
- 社食がなく、外食がメイン
- 大手キャリアのスマホ
となると、残る額はさらに減るでしょう。
人生に必要な支出
次に、人生を豊かにするために必要な支出です。
会社の飲み会や友人・恋人との交際費、美容院代、貯金についてみていきましょう。
- 会社関係の飲み会…0.5万円
- 友人や恋人との交際費…1.5万円
- 美容院…0.5万円
- 貯金…3万円(20万円の15%)
合計5.5万円
年末年始などの長期連休や、クリスマスや交際記念日だとさらに交際費が上がる見込みですよね。
また、営業などで会社関係の飲み会が多いという人は、飲み会代はもっと多いでしょう。
では残った額は……
では、残った額はいくらでしょうか?
1泊2日の旅行にでも行けば、予算オーバーです/(^o^)\
「若者の〇〇離れ」には、納得できる人も多いのではないでしょうか。
(納得する人が増えることを願う……)
20代の手取り額平均からシミュレーションしてみた(地方在住)
ところで、20代の手取り額平均の記事をTwitterで公開したところ……
「地方はもっとヤバいよ?」
というリプライがいくつか届きました。
せっかくなので、秋田県在住の「はちろうくん」で簡単にですがシミュレーションしてみました。
平均年収は20代前半277万円、20代後半が327万円なので、間をとって300万とします(月の手取りは18万)。
その他の条件は、たかしくんと同じとします。
生活に必要な支出
たかしくんと同じく、はちろうくんの生活に必要な支出から見ていきましょう。
一人暮らしをしていると、最低でも以下の支出が必要です。
- 家賃…4万円
- 食費…3万円(1日1000円×30日)
- 日用品…0.4万円
- ガス、電気、水道代…1万円
- スマホ(格安スマホ)…0.4万円
- インターネット…0.4万円
合計:9.2万円
家賃以外は都内と同じですが、都内と比べて収入も少ないです。
そのため、残る額は8.8万円とさほど変わりません。
人生に必要な支出
次に人生を豊かにするうえで必要な支出ですが……こちらが大きな問題でした。
- 会社関係の飲み会…0.5万円
- 友人や恋人との交際費…1.5万円
- 美容院…0.5万円
- 車のローン…1.5万円
- 駐車場代…0.3万円
- ガソリン代…1万円(月2回給油)
- 貯金…2.4万円(18万円の15%)
合計7.7万円
1番大きな違いは「クルマがないと生活できない」こと。
車通勤だとガソリン代を支給してもらえる会社も多いですが、今回は「なし」として計算しました。
すでに、地獄が見えてきましたね。
では残った額は……
では、残った額はいくらでしょうか?
ちょっと使いすぎたら、すぐに予算オーバーというカオスな状況に。
手取りは安いけど、家賃も安い。
ただし自由に使えるお金も少ないという、はちろうくんに心が痛みます。
ざっくりした計算ですが、20代の生活がいかに厳しいかお分かりいただけたのではないでしょうか。
20代の手取り額平均と「若者の〇〇離れ」
ここまでシミュレーションしてきた20代の手取り額平均から、「若者の〇〇離れ」がうっすらと分かってきたのではないでしょうか。
中でも、よくメディアで取り上げられるのは以下の3つに着目して解説しますね。
- テレビ
- 恋愛
- 車
①:テレビ
1つ目は「テレビ」です。
若者のテレビ離れは、手取り以上に「SNSやYoutubeなどで情報収集ができること」のほうが大きいでしょう。
メディアは信用できないとの声も多いですし、「バラエティ番組よりもYoutuberのほうが面白い」という若者もいますからね。
それにテレビの本体を買うだけで3万円かかりますし、N〇Kの徴収により毎月1000円の出費。
このことから「テレビはいらない」と考える人も多いはず。
ただし、以下の理由から「3つの中では、1番離れていない」といえます。
- おうちデートに便利(映画・ゲームなど)
- 昨今の情勢からテレビゲームが流行
- 災害情報の確認に便利
特に、おうち時間が増えたことから、多少見直された印象。
このことから
「もう少しお金に余裕があったら買ってもいいかも」
と考える人も多いでしょう。
②:恋愛・結婚
次に「恋愛・結婚」です。
恋愛や結婚は、住む場所を問わず離れています。
- お見合い婚の減少
- 女性の社会進出
といった理由もありますが、1番は「お金がない」こと。
特に男性は、以下のように「恋活・婚活とお金は切っても切れない関係」ですからね。
- 街コンやマッチングアプリは男性の方が割高
- なんだかんだ付き合う前までは、ご飯をおごる風潮
- 年収で男性を評価する、一部の婚活女子
- 友人や会社の交際費に上乗せして、デート代がかかる
- 結婚資金を貯めるほどの余裕がない
「ここまでお金がかかるなら、自分の好きなことをしたい!」という人が増えるのも無理はないでしょう。
③:車
最後は「車」です。
特に都心部に住む若者ほど、車を買おうとは思わない人が多いです。
車を買わない理由を、ほんの一部だけ紹介しますね。
- 新車価格が150万越えが大半
- 都心部だと、駐車場代が毎月2万前後
- 維持費が年間10万以上でかかる
- カーリース・カーシェアの普及
- そもそも都心の道が怖い
特にKINTOなどのカーリースや、タイムズカーなどのカーシェアリングが普及していることから
必要な時だけ、車を借りよう
という人が多いですね。
ただ、意外にも「車自体が嫌いな人」は少ないです。
ぼくの友人何人かに聞いてみましたが、むしろ「お金さえあれば車ほしい!」という人がほとんどでした。
「車離れ=車に興味がない」というわけではないことを、覚えておいてほしいですね。
まとめ:20代の手取り額平均と現状を知ってほしい
この記事では、20代の手取り額平均に基づいてシミュレーションし、「若者の〇〇離れ」について解説しました。
今の20代と「若者の〇〇離れ」という上司世代で、生活の状況が全く違うことをお分かりいただけたのではないでしょうか。
特に、昔はなくて今の20代に欠かせないのは「スマホ」。
たかがスマホ……と思うかもしれませんが、格安スマホにしたとしても毎月4000円はかかります。
手取りは減るし、税金は増えるし、スマホ代も必須。
お金がないのにストレスが溜まる、という今の世の中だと心を病む人が増えるのも無理はないでしょう。
どうか「最近の若者は……」という言葉を投げかける回数を減らしてほしいです。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
ではでは、今日も生きててえらい!